二人小町
芥川龍之介
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)小野《おの》の小町《こまち》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)そこへ突然|黄泉《よみ》の使《つかい》が現れる
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#「黄泉の使! 黄泉の使!」は2行の中央、括弧は2行にわたる波括弧]
−−
一
小野《おの》の小町《こまち》、几帳《きちょう》の陰に草紙《そうし》を読んでいる。そこへ突然|黄泉《よみ》の使《つかい》が現れる。黄泉の使は色の黒い若者。しかも耳は兎《うさぎ》の耳である。
小町 (驚きながら)誰です、あなたは?
使 黄泉の使です。
小町 黄泉の使! ではもうわたしは死ぬのですか? もうこの世にはいられないのですか? まあ、少し待って下さい。わたしはまだ二十一です。まだ美しい盛りなのです。どうか命は助けて下さい。
使 いけません。わたしは一天万乗《いってんばんじょう》の君でも容赦《ようしゃ》しない使なのです。
小町 あなたは情《なさけ》を知らないのですか? わたしが今死んで御覧なさい。深
次へ
全16ページ中1ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
芥川 竜之介 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング