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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)蓮池《はすいけ》のふち
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)丁度|地獄《じごく》の底に
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「牛へん+建」、第3水準1−87−71]
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一
ある日の事でございます。御釈迦様《おしやかさま》は極楽の蓮池《はすいけ》のふちを、独りでぶらぶら御歩きになっていらっしゃいました。池の中に咲いている蓮《はす》の花は、みんな玉のようにまっ白で、そのまん中にある金色《きんいろ》の蕊《ずい》からは、何とも云えない好《よ》い匂《におい》が、絶間《たえま》なくあたりへ溢《あふ》れて居ります。極楽は丁度朝なのでございましょう。
やがて御釈迦様はその池のふちに御佇《おたたず》みになって、水の面《おもて》を蔽《おお》っている蓮の葉の間から、ふと下の容子《ようす》を御覧になりました。この極楽の蓮池の下は、丁度|地獄《じごく》の底に当って居りますから、水晶《すいしよう》のよ
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