滝田哲太郎君
芥川龍之介

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)初《はじ》めて

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)その時|僕《ぼく》のために

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)滝田[#「滝田」に丸傍点]君
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        ◇
 滝田[#「滝田」に丸傍点]君《くん》に初《はじ》めて会《あ》ったのは夏目[#「夏目」に丸傍点]先生のお宅《たく》だったであろう。が、生憎《あいにく》その時のことは何も記憶《きおく》に残《のこ》っていない。
 滝田[#「滝田」に丸傍点]君《くん》の初《はじ》めて僕《ぼく》の家へ来たのは僕《ぼく》の大学を出た年の秋《あき》、――僕《ぼく》の初《はじ》めて「中央公論《ちゅうおうこうろん》」へ「手巾《はんけち》」という小説《しょうせつ》を書いた時である。滝田[#「滝田」に丸傍点]君《くん》は僕《ぼく》にその小説《しょうせつ》のことを「ちょっと皮肉《ひにく》なものですな」といった。
 それから滝田[#「滝田」に丸傍点]君《くん》は二三ヵ月おきに僕《ぼく》の家へ来るようになった。
       
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