大久保湖州
芥川龍之介
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)直弼《なほすけ》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)湖州|大久保余所五郎《おほくぼよそごらう》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「言+墟のつくり」、第3水準2−88−74]
[#…]:返り点
(例)不[#レ]可[#レ]免
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)いや/\
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或秋の夜、僕は本郷の大学前の或古本屋を覗いて見た。すると店先の陳列台に古い菊判の本が一冊、「大久保湖州著、家康と直弼《なほすけ》、引ナシ金五十銭」と云ふ貼り札の帯をかけたまま、雑書の上に抛り出してあつた。僕はこの本の挨を払ひ、ちよつと中をひろげて見た。中は本の名の示す通り、徳川家康と井伊直弼とに関する史論を集めたものらしかつた。が偶然開いた箇所は附録に添へてある雑文だつた。「人の一生」――僕はこの雑文の一つにかう云ふ名のあるのを発見した。
人
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