食物として
芥川龍之介
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)金沢《かなざは》
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(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)里見※[#「弓+享」、第3水準1−84−22]《さとみとん》
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金沢《かなざは》の方言《はうげん》によれば「うまさうな」と云ふのは「肥《ふと》つた」と云ふことである。例へば肥つた人を見ると、あの人はうまさうな人だなどとも云ふらしい。この方言は一寸《ちよつと》食人種の使ふ言葉じみてゐて愉快である。
僕はこの方言《はうげん》を思ひ出すたびに、自然と僕の友達を食物《しよくもつ》として、見るやうになつてゐる。
里見※[#「弓+享」、第3水準1−84−22]《さとみとん》君などは皮造りの刺身《さしみ》にしたらば、きつと、うまいのに違ひない。菊池《きくち》君も、あの鼻などを椎茸《しひたけ》と一緒《いつしよ》に煮《に》てくへば、脂《あぶら》ぎつてゐて、うまいだらう。谷崎潤一郎《たにざきじゆんいちらう》君は西洋酒で煮てくへば飛び切りに、うまいことは
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