。それから突然こちらを向き、さっさと斜めに歩いて行ってしまう。
71[#「71」は縦中横]
斜めに上から見おろした、大きい長方形の手水鉢《ちょうずばち》。柄杓《ひしゃく》が何本も浮かんだ水には火《ほ》かげもちらちら映っている。そこへまた映って来る、憔悴《しょうすい》し切った少年の顔。
72[#「72」は縦中横]
大きい石燈籠《いしどうろう》の下部。少年はそこに腰をおろし、両手に顔を隠して泣きはじめる。
73[#「73」は縦中横]
前の石燈籠の下部の後ろ。男が一人|佇《たたず》んだまま、何かに耳を傾けている。
74[#「74」は縦中横]
この男の上半身。もっとも顔だけはこちらを向いていない。が、静かに振り返ったのを見ると、マスクをかけた前の男である。のみならずその顔もしばらくの後《のち》、少年の父親に変ってしまう。
75[#「75」は縦中横]
前の石燈籠の上部。石燈籠は柱を残したまま、おのずから炎《ほのお》になって燃え上ってしまう。炎の下火《したび》になった
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