青年と死
芥川龍之介
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)宦官《かんがん》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)二人|蝋燭《ろうそく》の灯の下に
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「勹<夕」、第3水準1−14−76]
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[#ここから2字下げ]
すべて背景を用いない。宦官《かんがん》が二人話しながら出て来る。
[#ここで字下げ終わり]
――今月も生み月になっている妃《きさき》が六人いるのですからね。身重《みおも》になっているのを勘定したら何十人いるかわかりませんよ。
――それは皆、相手がわからないのですか。
――一人もわからないのです。一体妃たちは私たちよりほかに男の足ぶみの出来ない後宮《こうきゅう》にいるのですからそんな事の出来る訣《わけ》はないのですがね。それでも月々子を生む妃があるのだから驚きます。
――誰か忍んで来る男があるのじゃありませんか。
――私も始めはそう思ったのです。所がいくら番
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