西郷隆盛
芥川龍之介
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)本間《ほんま》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)広さ十|囲《い》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「てへん+丑」、第4水準2−12−93]
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これは自分より二三年前に、大学の史学科を卒業した本間《ほんま》さんの話である。本間さんが維新史に関する、二三興味ある論文の著者だと云う事は、知っている人も多いであろう。僕は昨年の冬鎌倉へ転居する、丁度一週間ばかり前に、本間さんと一しょに飯を食いに行って、偶然この話を聞いた。
それがどう云うものか、この頃になっても、僕の頭を離れない。そこで僕は今、この話を書く事によって、新小説の編輯者《へんしゅうしゃ》に対する僕の寄稿の責《せめ》を完《まっと》うしようと思う。もっとも後《のち》になって聞けば、これは「本間さんの西郷隆盛《さいごうたかもり》」と云って、友人間には有名な話の一つだそうである。して見ればこの話もある社会には存外も
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