俊寛
芥川龍之介

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)俊寛《しゅんかん》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)おれたちは皆|都人《みやこびと》じゃ

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「蠧」の「虫」二つに代えて「木」、第4水準2−15−30]
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俊寛《しゅんかん》云いけるは……神明《しんめい》外《ほか》になし。唯《ただ》我等が一念なり。……唯仏法を修行《しゅぎょう》して、今度《こんど》生死《しょうし》を出で給うべし。源平盛衰記《げんぺいせいすいき》
(俊寛)いとど思いの深くなれば、かくぞ思いつづけける。「見せばやな我を思わぬ友もがな磯のとまやの柴《しば》の庵《いおり》を。」同上
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        一

 俊寛様の話ですか? 俊寛様の話くらい、世間に間違って伝えられた事は、まずほかにはありますまい。いや、俊寛様の話ばかりではありません。このわたし、――有王《ありおう》自身の事さえ、
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