講演軍記
芥川龍之介
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)可也《かなり》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)自然|雑駁《ざつぱく》に
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)里見※[#「弓+享」、第3水準1−84−22]《さとみとん》
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僕が講演旅行へ出かけたのは今度|里見※[#「弓+享」、第3水準1−84−22]《さとみとん》君と北海道へ行つたのが始めてだ。入場料をとらない聴衆は自然|雑駁《ざつぱく》になりがちだから、それだけでも可也《かなり》しやべり悪《にく》い。そこへ何箇所もしやべつてまはるのだから、少からず疲れてしまつた。然し講演後の御馳走《ごちそう》だけは里見君が勇敢に断《ことわ》つてくれたから、おかげ様で大助かりだつた。
改造社の山本実彦《やまもとさねひこ》君は僕等の小樽《をたる》にゐた時に電報を打つてよこした。こちらはその返電に「クルシイクルシイヘトヘトダ」と打つた。すると市庁の逓信課《ていしんくわ》から僕等に電話がか
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