鷺と鴛鴦
芥川龍之介

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)銀座《ぎんざ》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)二三年|前《まへ》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「均のつくり」、第3水準1−14−75]《にほひ》
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 二三年|前《まへ》の夏である。僕は銀座《ぎんざ》を歩いてゐるうちに二人《ふたり》の女を発見した。それも唯の女ではない。はつと思ふほど後《うし》ろ姿の好《い》い二人の女を発見したのである。
 一人《ひとり》は鷺《さぎ》のやうにすらりとしてゐる。もう一人は――この説明はちよつと面倒である。古来姿の好いと云ふのは揚肥《やうひ》よりも趙痩《てうそう》を指したものらしい。が、もう一人は肥《ふと》つてゐる。中肉《ちうにく》以上に肥つてゐる。けれども体の吊《つ》り合ひは少しもその為に損はれてゐない。殊に腰を振るやうに悠々と足を運ぶ容子《ようす》は鴛鴦《をしどり》のやうに立派《りつぱ》である。対《つゐ》の縞《しま》あかしか何か
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