軽井沢で
芥川龍之介
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)映《うつ》つてゐる。
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地から1字上げ](大正十四年稿)
−−
黒馬に風景が映《うつ》つてゐる。
×
朝のパンを石竹《せきちく》の花と一しよに食はう。
×
この一群《ひとむれ》の天使たちは蓄音機《ちくおんき》のレコオドを翼にしてゐる。
×
町はづれに栗の木が一本。その下にインクがこぼれてゐる。
×
青い山をひつ掻《か》いて見給へ。石鹸《せつけん》が幾つもころげ出すだらう。
×
英字新聞には黄瓜《かぼちや》を包め。
×
誰かあのホテルに蜂蜜を塗つてゐる。
×
M夫人――舌の上に蝶《てふ》が眠つてゐる。
×
Fさん――額《ひたひ》の毛が乞食《こじき》をしてゐる。
×
Oさん――あの口髭《くちひげ》は駝鳥《だてう》の羽根だらう。
×
詩人S・Mの言葉――芒《すすき》の穂は毛皮だね。
×
或牧師の顔――臍《へそ》
次へ
全3ページ中1ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
芥川 竜之介 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング