枯野抄
芥川龍之介
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)丈艸《ぢやうさう》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)大阪|商人《あきんど》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「火+主」、第3水準1−87−40]《た》きさした
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丈艸《ぢやうさう》、去来《きよらい》を召し、昨夜目のあはざるまま、ふと案じ入りて、呑舟《どんしう》に書かせたり、おのおの咏じたまへ
旅に病むで夢は枯野をかけめぐる
[#ここで字下げ終わり]
[#地から2字上げ]――花屋日記――
元禄七年十月十二日の午後である。一しきり赤々と朝焼けた空は、又昨日のやうに時雨《しぐ》れるかと、大阪|商人《あきんど》の寝起の眼を、遠い瓦屋根の向うに誘つたが、幸《さいはひ》葉をふるつた柳の梢《こずゑ》を、煙らせる程の雨もなく、やがて曇りながらもうす明い、もの静な冬の昼になつた。立ちならんだ町家《まちや》の間を、流れるともなく流れる川の水さへ、今日は
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