京都日記
芥川龍之介
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)光悦寺《くわうえつじ》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)鷹《たか》ヶ|峯《みね》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「均のつくり」、第3水準1−14−75]ひ
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光悦寺
光悦寺《くわうえつじ》へ行つたら、本堂の横手の松の中に小さな家が二軒立つてゐる。それがいづれも妙に納《をさま》つてゐる所を見ると、物置きなんぞの類ではないらしい。らしい所《どころ》か、その一軒には大倉喜八郎《おほくらきはちらう》氏の書いた額《がく》さへも懸《かか》つてゐる。そこで案内をしてくれた小林雨郊《こばやしうかう》君をつかまへて、「これは何《なん》です」と尋ねたら、「光悦会《くわうえつくわい》で建てた茶席です」と云ふ答へがあつた。
自分は急に、光悦会がくだらなくなつた。
「あの連中は光悦に御出入《おでいり》を申しつけた気でゐるやうぢやありませんか。」
小林君は自分の毒口《どく
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