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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)田舎《ゐなか》に
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)一度|田舎《ゐなか》住ひを
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)かしら?[#底本では「?」の後は1字アキ]」
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)空々《そら/″\》しい
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
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一 猫
彼等は田舎《ゐなか》に住んでゐるうちに、猫を一匹飼ふことにした。猫は尾の長い黒猫だつた。彼等はこの猫を飼ひ出してから、やつと鼠の災難だけは免《まぬか》れたことを喜んでゐた。
半年《はんとし》ばかりたつた後《のち》、彼等は東京へ移ることになつた。勿論猫も一しよだつた。しかし彼等は東京へ移ると、いつか猫が前のやうに鼠をとらないのに気づき出した。「どうしたんだらう? 肉や刺身《さしみ》を食はせるからかしら?[#底本では「?」の後は1字アキ]」「この間Rさんがさう言つてゐましたよ。猫は塩の
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