》んで無名の天才に敬意を払ふの士が存外《ぞんぐわい》多くはないかと思ふ。それらの士は、俗悪なる新画に巨万の黄金《わうごん》を抛《なげう》つて顧みない天下の富豪《ふがう》に比《くら》べると、少くとも趣味の独立してゐる点で尊敬に価《あたひ》する人々である。そこで自分は聊《いささ》かそれらの士と共に、真贋の差別に煩《わづら》はされない清興《せいきやう》の存在を主張したかつたから、ここにわざわざ以上の饒舌《ぜうせつ》を活字にする事を敢《あへ》てした。所謂《いはゆる》竹町物《たけちやうもの》を商ふ骨董屋《こつとうや》が広告に利用しなければ幸甚《かうじん》である。
底本:「筑摩全集類聚 芥川龍之介全集第四巻」筑摩書房
1971(昭和46)年6月5日初版第1刷発行
1979(昭和54)年4月10日初版第11刷発行
入力:土屋隆
校正:松永正敏
2007年6月26日作成
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