自己を弁護することは他人を弁護することよりも困難である。疑うものは弁護士を見よ。
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矜誇《きょうか》[#ルビの「きょうか」は「きょうこ」の誤か]、愛欲、疑惑――あらゆる罪は三千年来、この三者から発している。同時にまたおそらくはあらゆる徳も。
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物質的欲望を減ずることは必ずしも平和をもたらさない。我々は平和を得るためには精神的欲望も減じなければならぬ。(クラバックはこの章の上にも爪《つめ》の痕《あと》を残していました。)
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我々は人間よりも不幸である。人間は河童《かっぱ》ほど進化していない。(僕はこの章を読んだ時思わず笑ってしまいました。)
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成すことは成し得ることであり、成し得ることは成すことである。畢竟《ひっきょう》我々の生活はこういう循環論法を脱することはできない。――すなわち不合理に終始している。
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ボオドレエルは白痴になった後《のち》、彼の人生観をたった一語に、――女陰の一語に表白した。しかし彼自身を語るものは必ずしもこう言ったことではない。むしろ彼の天才に、――彼の生活を維持す
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