温泉だより
芥川龍之介
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)宿《やど》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)温泉|宿《やど》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「勹<夕」、第3水準1−14−76]
−−
……わたしはこの温泉|宿《やど》にもう一月《ひとつき》ばかり滞在《たいざい》しています。が、肝腎《かんじん》の「風景」はまだ一枚も仕上《しあ》げません。まず湯にはいったり、講談本を読んだり、狭い町を散歩したり、――そんなことを繰り返して暮らしているのです。我ながらだらしのないのには呆《あき》れますが。(作者註。この間《あいだ》に桜の散っていること、鶺鴒《せきれい》の屋根へ来ること、射的《しやてき》に七円五十銭使ったこと、田舎芸者《いなかげいしゃ》のこと、安来節《やすきぶし》芝居に驚いたこと、蕨狩《わらびが》りに行ったこと、消防の演習を見たこと、蟇口《がまぐち》を落したことなどを記《しる》せる十数|行《ぎょう》あり。)それから次手
次へ
全16ページ中1ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
芥川 竜之介 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング