ぢや。この法師の屍骸《しがい》の口には、まつ白な蓮華《れんげ》が開いてゐるぞ。さう云へば此処へ来た時から、異香《いかう》も漂うてはゐた容子《ようす》ぢや。では物狂ひと思うたのは、尊い上人《しやうにん》でゐらせられたのか。それとも知らずに、御無礼を申したのは、反《か》へす反《が》へすもわしの落度ぢや。南無阿弥陀仏。南無阿弥陀仏。南無阿弥陀仏。南無阿弥陀仏。
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[#地から2字上げ](大正十年三月)



底本:「現代日本文学大系43芥川龍之介集」筑摩書房
   1968(昭和43)年8月25日初版第1刷発行
入力:j.utiyama
校正:earthian
1998年12月28日公開
2004年2月18日修正
青空文庫作成ファイル:
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