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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)蟹《かに》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)商業会議所会頭某|男爵《だんしやく》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地から1字上げ](大正十二年二月)
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蟹《かに》の握り飯を奪った猿《さる》はとうとう蟹に仇《かたき》を取られた。蟹は臼《うす》、蜂《はち》、卵と共に、怨敵《おんてき》の猿を殺したのである。――その話はいまさらしないでも好《よ》い。ただ猿を仕止めた後《のち》、蟹を始め同志のものはどう云う運命に逢着《ほうちゃく》したか、それを話すことは必要である。なぜと云えばお伽噺《とぎばなし》は全然このことは話していない。
いや、話していないどころか、あたかも蟹は穴の中に、臼は台所の土間《どま》の隅に、蜂は軒先《のきさき》の蜂の巣に、卵は籾殻《もみがら》の箱の中に、太平無事な生涯でも送ったかのように装《よそお》っている。
しかしそれは偽《いつわり》である。彼等は仇《かたき》を取った後、警官の捕縛《ほばく》するところとなり、ことごとく監獄《かんごく》に投ぜられた。しか
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