はないか?

     作詩術
        ――同上――

 二人の宮人は彼の前に、石竹《せきちく》の花の色に似た、絹の屏風を開いてゐる。一人の嬪妃《ひんき》は跪《ひざまづ》きながら、彼の硯を守つてゐる。その時泥酔した李太白《りたいはく》は、天上一片の月に寄せる、激越な詩を屏風に書いた。
[#地から1字上げ](大正十一年一月)



底本:「筑摩全集類聚 芥川龍之介全集第四巻」筑摩書房
   1971(昭和46)年6月5日初版第1刷発行
   1979(昭和54)年4月10日初版第11刷発行
入力:土屋隆
校正:松永正敏
2007年6月26日作成
青空文庫作成ファイル:
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