バルタザアル
BALTHASAR
アナトール・フランス Anatole France
芥川龍之介訳

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)聘問《へいもん》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)女王の片|脛《はぎ》は

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「亦/巾」、第4水準2−8−85]幕《ひらまく》
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       一

 其頃はギリシヤ人にサラシンとよばれたバルタザアルがエチオピアを治めてゐた。バルタザアルは色こそ黒いが、目鼻立の整つた男であつた。其上又素直なたましひと大様な心とを持つた男であつた。
 即位の第三年行年二十二の時に王は国を出て、シバの女王バルキス聘問《へいもん》の途に上つた。
 追随するのは魔法師のセムボビチスと宦官《くわんぐわん》のメンケラとである。行列の中には七十五頭の駱駝がゐて、それが皆肉桂、没薬《もつやく》、砂金、象牙などを負うてゐるのである。
 みちみち、セムボビチスが王に遊星の力や宝石の徳を教へたり、
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