《あひだ》にせつせと発句《ほつく》を作つてゐる。ちよつとO君を写生した次手《ついで》にそれ等の発句もつけ加へるとすれば――
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らん竹《ちく》に鋏《はさみ》入れたる曇り哉《かな》
夜具綿《やぐわた》は糸瓜《へちま》の棚に干《ほ》しもせよ
わくら葉は蝶《てふ》となりけり糸すすき
うすら日を糸瓜《へちま》かはむけ井戸端に
ひときはにあをきは草の松林
大つぶもまじへて栗のはしり哉《かな》
鳳仙花《ほうせんくわ》種《たね》をわりてぞもずのこゑ
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[#地から1字上げ](十五・十・十一|鵠沼《くげぬま》)
底本:「筑摩全集類聚 芥川龍之介全集第四巻」筑摩書房
1971(昭和46)年6月5日初版第1刷発行
1979(昭和54)年4月10日初版第11刷発行
入力:土屋隆
校正:松永正敏
2007年6月26日作成
青空文庫作成ファイル:
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