わが俳諧修業
芥川龍之介

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)葉守《はも》り

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)落葉|焚《た》いて

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地から1字上げ](大正十三年)
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 小学校時代。――尋常四年の時に始めて十七字を並べて見る。「落葉|焚《た》いて葉守《はも》りの神を見し夜《よ》かな」。鏡花《きやうくわ》の小説など読みゐたれば、その羅曼《ロマン》主義を学びたるなるべし。

 中学時代。――「獺祭書屋俳話《だつさいしよをくはいわ》」や「子規随筆《しきずゐひつ》」などは読みたれど、句作は殆《ほとん》どしたることなし。

 高等学校時代。――同級に久米正雄《くめまさを》あり。三汀《さんてい》と号し、朱鞘《しゆざや》派の俳人なり。三汀及びその仲間の仕事は詩に於ける北原白秋《きたはらはくしう》氏の如く、俳諧にアムプレシヨニスムの手法を用ひしものなれば、面白がりて読みしものなり。この時代にも句作は殆《ほとん》どせず。

 大学時代。――略《ほ》ぼ前時代と同様なり。

 教師時代。――海
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