界へ追い下し、「いんへるの」に堕せしめ給う。即《すなわち》安助高慢の科《とが》に依って、「じゃぼ」とて天狗《てんぐ》と成りたるものなり。
破していわく、汝《なんじ》提宇子《でうす》、この段を説く事、ひとえに自縄自縛《じじょうじばく》なり、まず DS《でうす》 はいつくにも充ち満ちて在《まし》ますと云うは、真如法性《しんにょほっしょう》本分の天地に充塞し、六合《りくごう》に遍満したる理《ことわり》を、聞きはつり云うかと覚えたり。似たる事は似たれども、是《ぜ》なる事は未だ是《ぜ》ならずとは、如此《かくのごとき》の事をや云う可き。さて汝云わずや。DS は「さひえんちいしも」とて、三世了達《さんぜりょうだつ》の智なりとは。然らば彼《かれ》安助《あんじょ》を造らば、即時に科《とが》に落つ可きと云う事を知らずんばあるべからず。知らずんば、三世了達《さんぜりょうだつ》の智と云えば虚談なり。また知りながら造りたらば、慳貪《けんどん》の第一なり。万事に叶《かな》う DS ならば、安助の科《とが》に堕《だ》せざるようには、何とて造らざるぞ。科に落つるをままに任せ置たるは、頗る天魔を造りたるものなり。無用
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