《よ》い。
二
提宇子《でうす》のいわく、DS《でうす》 は「すひりつあるすすたんしや」とて、無色無形の実体にて、間《かん》に髪《はつ》を入れず、天地いつくにも充満して在《まし》ませども、別して威光を顕《あらわ》し善人に楽《らく》を与え玉わんために「はらいそ」とて極楽世界を諸天の上に作り玉う。その始《はじめ》人間よりも前に、安助《あんじょ》(天使)とて無量無数の天人《てんにん》を造り、いまだ尊体を顕し玉わず。上一人《かみいちにん》の位を望むべからずとの天戒を定め玉い、この天戒を守らばその功徳《くどく》に依って、DS の尊体を拝し、不退の楽《らく》を極むべし。もしまた破戒せば「いんへるの」とて、衆苦充満の地獄に堕し、毒寒毒熱の苦難を与うべしとの義なりしに、造られ奉って未だ一刻をも経ざるに、即ち無量の安助《あんじょ》の中《なか》に「るしへる」と云える安助、己《おの》が善に誇って我は是 DS なり、我を拝せよと勧めしに、かの無量の安助の中《うち》、三分の一は「るしへる」に同意し、多分は与《くみ》せず、ここにおいて DS「るしへる」を初とし、彼に与せし三分の一の安助をば下
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