「鏡花全集」目録開口
芥川龍之介

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)俊爽《しゆんさう》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)東西|芸苑《げいえん》の

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「警」の「言」に代えて「手」、第3水準1-84-92]天《けいてん》
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 鏡花泉先生は古今に独歩する文宗なり。先生が俊爽《しゆんさう》の才、美人を写して化を奪ふや、太真《たいしん》閣前《かくぜん》、牡丹《ぼたん》に芬芬《ふんふん》の香を発し、先生が清超の思、神鬼を描いて妙に入るや、鄒湛《すうたん》宅外、楊柳に啾啾《しうしう》の声を生ずるは已《すで》に天下の伝称する所、我等亦多言するを須《もち》ひずと雖《いえど》も、其の明治大正の文芸に羅曼《ロマン》主義の大道を打開し、艶《えん》は巫山《ふざん》の雨意よりも濃に、壮は易水の風色よりも烈なる鏡花世界を現出したるは啻《ただ》に一代の壮挙たるのみならず、又実に百世に炳焉《へいえん》たる東西|芸苑《げいえ
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