障子のある家
尾形亀之助

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【テキスト中に現れる記号について】

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あるひは(つまづく石でもあれば私はそこでころびたい)


自序

 何らの自己の、地上の権利を持たぬ私は第一に全くの住所不定へ。それからその次へ。
 私がこゝに最近二ヶ年間の作品を随処に加筆し又二三は改題をしたりしてまとめたのは、作品として読んでもらう[#「う」に「ママ」の注記]ためにではない。私の二人の子がもし君の父はと問はれて、それに答へなければならないことしか知らない場合、それは如何にも気の毒なことであるから、その時の参考に。同じ意味で父と母へ。もう一つに、色々と友情を示して呉れた友人へ、しやうのない奴だと思つてもらつてしも[#「も」に「ママ」の注記]うために。

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尚、表紙の緑色のつや紙は間もなく変色しやぶけたりして、この面はゆい一冊の本を古ぼけたことにするでせう。
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