れてゐたのですからたまりません。それとは知らずに働ら[#「ら」に「ママ」の注記]けば暮らしが楽になると思ひこんでゐた人達が大部分だつたのです。そんなわけですから、何も仕事をしないものは「なまけもの」と言はれて軽べつされたり、銭がなければ食べないなどという規則みたいなものさへあつたのです。
新らしい王様が位についたときは勿論大変なさわぎだつたのです。旗も立てたしアーチなども作つてその下を通るやうにし、花火もたくさんあげたのです。「正しい数千年の歴史」なのですから、実にたくさんの祭日や記念日があり老王の退位の日もちやんと旗を立てゝ、来年からも同じ日に旗をたてることになつたことは勿論です。王様は、盗られてはいけないといふので立派な鉄砲や剣をもたした兵隊を国境へ守備に出しましたが、何処まで行つても国境がないのですから、これが如何に大変なことであつたかは、先に述べた博士達のことででもわかる筈です。しかし、新しい王様が少しでも国を減らそうなどとは思ひもよらなかつたことだけは、それから幾千年かの後そのまゝの広さの国を博士達が測量しや[#「や」に「ママ」の注記]うとしたことででもわかるのです。後から
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