水菓子屋の要吉
木内高音
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)要吉《ようきち》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)十|銭《せん》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)よりわけ[#「よりわけ」に傍点]をしなければ
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一
要吉《ようきち》は、東京の山《やま》の手《て》にある、ある盛《さか》り場《ば》の水菓子屋《みずがしや》の小僧《こぞう》さんです。要吉は、半年《はんねん》ばかり前にいなかからでてきたのです。
要吉の仕事《しごと》の第一は、毎朝《まいあさ》、まっさきに起《お》きて、表《おもて》の重たい雨戸《あまど》をくりあけると、年上の番頭《ばんとう》さんを手伝《てつだ》って、店さきへもちだしたえんだいの上に、いろんなくだものを、きれいに、かざりたてることでした。それがすむと、番頭さんがはたきをかけてまわるあとから要吉は、じょろで、水をまいて歩くのでした。ろう細工《ざいく》のようなりんごや、青い葉の上にならべられた赤いいちごなどが、細い水玉《みずたま》をつけてきらきらと輝《かがや》きます。要吉は、す
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