いてしまうんですよ。」
奥さんは、その晩、御飯を召し上りながら、御主人にお話になりました。
「いや、私のポピイも、今日は、よほどへんだったよ。」と御主人もおっしゃいました。「横丁さえ見れば曲りたがるんだ。ハンドルをいくら抑《おさ》えてもきかないんだ。どうもへんだよ。」
それでも次の日、御主人は、またポピイに乗ってお出かけになりました。ポピイは、また、一生けんめい、モーティを探《さが》そうと、あっちの横丁、こっちの裏通りを覗《のぞ》き覗き歩きました。で、とうとう、うっかり、ガラスのかけらの上に乗り上げてタイヤをパンクしてしまいました。御主人こそいい災難です。――ポピイは、御主人と一しょに夜遅くなって、ようやくお屋敷へ帰りました。
五
それから、また幾日もたちました。でも、まだモーティは帰って来ません。ポピイとピリイとは、がっかりして、すっかり元気がなくなってしまいました。
「ひょっとしたら、モーティは盗まれて、古自動車屋へでも売られたんではないでしょうか。」
「よし、その内、御主人のおともをして、下町の方へ出ることがあるだろうから、その時は、思い切ってガラクタ屋
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