トバイに飛び乗ってあとを追いかけました。
 それでも、とうとうポピイは、人を轢《ひ》かずに、ある貸車庫の前で止りました。赤いオートバイが、その中にはいったからです。
 ポピイは、ぐったりすると一しょに、きまりが悪くって情《なさけ》なくってたまりませんでした。あんなにまでして追いかけたオートバイは、モーティではなかったのです。
 御主人はポピイの心もちを御存じないものですから、ただ機械がくるったのだと思って、その場で、すぐにハンドルだのギーアだのをすっかり、新しいのに取りかえて下さいました。で、もう二度と、あんな危《あぶ》ないことは起る筈《はず》がないと固く信じていらっしゃいます。
 全《まった》く、それから後《のち》は、ポピイは一度だって、勝手に走りまわったことはありませんでした。しかし、それは、ポピイが、もう、モーティを探《さが》すことをあきらめたからなのです。ピリイも、もうすっかりあきらめてしまいました。

        七

 その内にまた一と月もたちました。
 ポピイとピリイとは、時々、モーティのことを思い出しては、お互いに、そっと、ため息をついていました。
 ところがある朝
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