のことです。いつものように車庫の扉《とびら》が外からギイッと開《あ》くと、二人《ふたり》は、びっくりして眼を見張りました。
 そこには、モーティが、赤い塗りたてのサイドカアまでつけて、いせいよく立っているのです。
 二人は、嬉《うれ》しくって暫《しばら》くは、ものも言えませんでした。するとモーティが、すっかり大人《おとな》らしくなった太い声で言いました。
「しばらく。――お父《と》ッつァん。おッ母《か》さん。僕、妹をつれて来たからよろしく頼むよ。」
 ポピイもピリイも、びっくりしてしまいました。何て、ぞんざいな口をきくのでしょう。あんなに心配をさせておきながら、まだお行儀も直らないのかしら、困ったものだと思いました。しかし、それよりも、第一に、長い間欲しがっていた女の子までも出来たのだから、ありがたいことだと思い直して、モーティには別に、こごとも言いませんでした。
 しかしモーティも馬鹿ではありません。お父さまやお母さまが、何《なん》にもおこごともおっしゃらず、前の通りにやさしくして下さるのを見ると、自分の悪かったことが、しみじみと分って来ました。モーティは、今では、もとのように可愛《
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