だけのお話がだいぶのっていたようです。(わたしたちは、本州《ほんしゅう》のことを内地《ないち》内地と、なつかしがって、よんでいました。)
 たとえは、くまが納屋《なや》へしのびこんで、かずの子[#「かずの子」に傍点]のほしたのをはらいっぱいに食《た》べ、のどがかわいたので川の水をのむと、さあ大へんです。おなかの中で、かずの子が水をすってうんとふえたからたまりません。くまは、とうとう胃《い》がはれつして死んでしまったというようなお話ものっていました。ほしかずの子がどんなに水へつけるとふえるものかは、おかあさま方《がた》におききになればよくわかります。
 ――わたしは、またもう一つ読本の中にあったくまの絵《え》をありありと思いだすことができます。それは、大きなくまが後足で立って、木の枝《えだ》にさけ[#「さけ」に傍点]をたくさん通《とお》したのをかついでいくところです。さけが川へ上《のぼ》ってくるころになりますと、川はさけでいっぱいになり、さけはたがいに身動《みうご》きもできないくらいになることがあるのだそうです。そういう時をねらって、くまは川の岸《きし》にでて、爪《つめ》にひっかけては、
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