くまと車掌
木内高音

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)尋常科《じんじょうか》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)二十|代《だい》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)かずの子[#「かずの子」に傍点]
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 わたしは尋常科《じんじょうか》の四年を卒業《そつぎょう》するまで、北海道《ほっかいどう》におりました。その頃《ころ》は、尋常科は四年までしかありませんでしたから、わたしは北海道で尋常小学を卒業したわけです。
 今から、ざっと二十年前になります。今では小学校の読本《とくほん》は、日本中どこへいっても同じのを使《つか》っておりますが、その当時《とうじ》は、北海道用という特別《とくべつ》のがあって、わたしたちは、それを習《なら》ったものです。茶色《ちゃいろ》の表紙《ひょうし》に青いとじ糸を使い、中の紙《かみ》も日本紙《にほんし》で片面《かためん》だけに字《じ》をすったのを二つ折《お》りにして重《かさ》ねとじた、純日本式《じゅんにほんしき》の読本《とくほん》でした。その中には、内地《ないち》の人の知らない、北海道
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