2−22]電氣性を帶びた微粒子若干が集まり、其中の或者は中央の位地に集結し、他の者は恰も之を守る如く遠※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]に圍みながら、絶えず動いてゐる集團的組織である。而して或る原子は内部に不和でもあるかの如く自然に崩壞し、或る原子は外部より作用する暴力を以て、人工的に崩壞せしめ得ることが知られてゐる。即ち原子は永久不變のものでなく、變化の可能性あるのみならず、實際變化しつゝあるのである。又宇宙は昔は無限大とせられながら、不變の大精神の如きものが之を攝理して、其大世帶の機構は突飛の變化なきものと想はれてゐた。然るに近年恆星進化論が出で來り、常に大變化を成しつゝあることが證明せられるに至つたばかりか、所謂我々の宇宙は有限であるとの考も出で、アインシュタインは宇宙の半徑を10[#「10」は縦中横]9[#「9」は指数]光年程度のものと見積り、ハッブルは宇宙の膨脹する實景を觀測することに成功した。即ち我宇宙は無限不動のものではなく、進化發展するものである。
事實網の兩極端の事實が不變性を失ふに至りたるは、今まで懷抱して來た恆久不易の通念を覆す重大事件である。是は學者の
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