而して其結合の強固なる理由は爭ひの起ること少いからであらねばならない。この爭ひを少くすると云ふ理由の基に一夫一婦制を主張するのである。若しこの制に戻るものありと見れば安藤は王公と雖も許さず、彼一流の痛罵を浴せる、這般の消息を語る言葉に一夫數婦は野馬の業なり[#「一夫數婦は野馬の業なり」に白丸傍点]といふがある。一婦數男を聞いたら蜂蟻の行ひに如かずとして笑つたであらう。
右の定理の系として、獨身はいけないこととなる。男女は互性活眞の理に協ふ樣に一男一女の配偶をとらなければならないから、獨身は片輪である。所謂一男一女にして初めて完全なる社會人となるのである。此意味に於て男女《ヒト》を人と訓讀せしむるのである。
安藤は互性活眞の利劔を以て世相を切捲り、其矛盾不合理を摘發し、法世をして完膚なきに至らしめ、かかる不都合なる法世を現出せしめたる重なる原因は、思想の指導者たる聖人及び宗教家にありとするのである。彼等は自然を覺らず正智を得ざるに氣付かず、妄迷的なる亢偏智[#「妄迷的なる亢偏智」に白丸傍点]を以て自然を曲解し、種々なる價値觀を立て講説、文章、藝術、暴力等あるとあらゆる方法を以て其誤り
前へ
次へ
全53ページ中42ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
狩野 亨吉 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング