は自ら詩を作りて当時の境遇を序したりき。曰く
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今朝風日佳、北窓過[#二]新雨[#一]、謝[#レ]客開[#二]吾秩[#一]、山妻来有[#レ]叙、無[#レ]禄須[#二]衆眷[#一]、八口豈独処、輪鞅不[#レ]到[#レ]門、饑寒恐自取、願少退[#二]其鋭[#一]、応接雑[#二]媚※[#「女+無」、第4水準2−5−80][#一]、吾病誰※[#「金+乏」、282−下−25]鍼、吾骨天賦予、不[#レ]然父母国、何必解[#二]珪※[#「王+且」、282−下−25][#一]、今而勉齷齪、無[#三]乃欺[#二]君父[#一]、去矣勿[#レ]聒[#レ]我、方与[#二]古人[#一]語、
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星巌集を読めば彼も亦屡々貧を歌へり。千古の文人と雖も文学の趣味唯貴族の間にのみ行はれし封建の社会に在つては辛《から》ふじて不覊《ふき》独立の生計を為すを得しのみ。当時文人の運命真に悲しむべし。
爾《しか》く貧なりと雖も彼の家庭は幸福なるを得し也。彼の妻は彼の死後貞節を以て市尹《しゐん》より褒称《はうしよう》せられし程の人なり、彼も亦其妻に対して極て温情なる夫なりき。彼九州に
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