北村透谷君
山路愛山

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)書肆《しよし》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)其|人《ひと》と為《な》り

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)屡※[#二の字点、1−2−22]

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)偶《たま/\》
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 明治廿二年、予の始めて上京するや偶《たま/\》銀座の街を歩し書肆《しよし》に於て一冊を得たり、題して楚囚《そしう》の詩と曰《い》ふ。予は之れを読んで其言の欝愴《うつさう》たるを奇としたりき。
 同廿四年、予の遠江《とほたふみ》にあるや友人明石桜井君、一書を予に贈れり、題して蓬莱曲《ほうらいきよく》と曰ふ。是《こ》れ楚囚の詩と作者を同ふする者。
 其夏余再び上京す。一日桜井氏が本郷の小楼に在《あ》り、座上一客を見る。桜井氏之れを予に介して曰ふ。即ち蓬莱曲の作者北村透谷君也。余が交を透谷君に訂せしは是を始めとす。
 余をして遠慮なく白状せしめ
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