凡神的唯心的傾向に就て
山路愛山

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)煎《せん》じて

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)天地|乾坤《けんこん》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#ここから2字下げ]

 [#…]:返り点
 (例)述而不[#レ]作
−−

 三個の青年、草庵に渋茶を煎《せん》じて炉を囲む、一人は円顱《ゑんろ》に道服を着たり、一人は黒紋付の上に袈裟《けさ》を掛けたり、三人対座して清談久し。やがて其歌ふを聞けば曰く
[#ここから2字下げ]
天地|乾坤《けんこん》みな一呑や草の庵
大千起滅す一塵《いちぢん》の裡《うち》
味ひ得たり渋茶一ぱい
利刃一閃浮世を斬《きつ》て真ッ二ツ
活血《くわつけつ》流れよ未来万年    (白表女学雑誌)
[#ここで字下げ終わり]
 嗚呼《あゝ》是れ健康なる思想の表彰として賀すべきの事なりや、抑《そもそ》も亦|喟然《きぜん》として歎ずべきの事なりや。渇する者は飲を為し易く、飢へある者は食を為し易し、近来の傾向は歴史的也故に又回顧的也常感的也。マコレーに行きて厭《あ》く者はヱ
次へ
全4ページ中1ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
山路 愛山 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング