鎮撫使からの御汰沙によって、彼らがその本営に召《め》し出《いだ》される以上、彼らの運命は決ったといってもよかった。官軍では、桑名の投降をいれると同時に、錦旗に発砲したこれらの諸兵を斬って、朝威を明らかにしようとしているのだ――と、一藩の人たちは考えた。十三人の人たちが、他の人々よりも早く、それに気がついたはむろんである。彼らは当日、家を出るときに、銘々の妻子と水杯を掬《く》み交わした。
 幼年の主君万之助の乗った籠の後から、麻上下を付けて、白い鼻緒の草履を穿《は》いて、とぼとぼと付き従うて行く彼らを、一藩の人々はあわれな犠牲者として見送った。
 万之助主従は、四日市の町に入ると、瓦町の法泉寺で四つ時まで休憩した後、亀山藩士の名川力弥に導かれて、官軍の本営真光寺に出頭した。万之助と重臣たちは式台の上に上ることを許された。十三人の敗兵たちは、白洲の上に蹲《うずくま》っていた。
 衣冠束帯の威儀を正した鎮撫使の橋本少将が、厳かな口調で、次のようにいい渡した。

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越中守反逆顕然無道至極今更申迄モ無之為征討発向ノ処嘆願ノ趣有之旁々書面ノ通可心得
一、本城ヲ掃除シ朝廷ニ
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