一様ならず、朝鮮の人民日本の|下知《げち》法度を信ぜずして、山林へ逃げかくれ、安堵の思なく、朝鮮の三道荒野となって五穀なし。兵糧を日本より運送するようにては如何で明に入ることを得ん」と。秀吉壁越しに聞き、尤もだと思ったと云うが、まことに朝鮮出兵失敗の根幹を指摘している。

      後記

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 この物語を作るに際して参照した書物は次の如くである。
   天野源右衛門覚書
 別名『立花朝鮮記』と云われて居る様に、立花宗茂の戦功を、その部下の源右衛門が書いたものである。
   吉野甚五衛門覚書
   懲※[#「比/必」、第3水準1−86−43]録《ちょうひろく》
 朝鮮の忠臣柳成竜が、八道を蹂躙《じゅうりん》された経過を述べて将来の誡《いましめ》としたもの。
   征韓偉略
 水戸彰考館総裁川口|長孺《ちょうじゅ》の著で、秀吉の譜、宗氏家記、毛利家記、黒田記略、清正記等各部将の家記を始め、朝鮮の懲※[#「比/必」、第3水準1−86−43]録、明の明史までも参照して簡単ではあるが信頼すべきもの。
   堀本朝鮮征伐記
     其他
   日本戦史朝鮮役
   近世日
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