島原心中
菊池寛
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)罠《わな》に
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)自殺|幇助《ほうじょ》の
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「足へん+宛」、第3水準1−92−36]《あが》く。
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自分は、その頃、新聞小説の筋を考えていた。それは、一人の貧乏華族が、ある成金の怨みを買って、いろいろな手段で、物質的に圧迫される。華族は、その圧迫を切り抜けようとして※[#「足へん+宛」、第3水準1−92−36]《あが》く。が、※[#「足へん+宛」、第3水準1−92−36]《あが》いたため、かえって成金の作っておいた罠《わな》に陥って、法律上の罪人になるという筋だった。
自分は、その華族が、切羽詰って法律上の罪を犯すというところを、なるべく本当らしく、実際ありそうな場合にしたかった。通俗小説などに、ありふれたような場合を避けたかった。自分は、そのために法律の専門家に、相談してみようと考えた。
自分は、頭の
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