手の軍勢は数十万余にて候……(中略)江戸様よりの御詫に、切利支丹の百牲|原《ばら》に侍衆そこなはせ候こと、いらざる儀と思召され候間、柵の所に丈夫に仰付けられほし殺しになされ候やうにと仰聞かされ候。
一、(前略)城より落つるもの三四人御座候処に、命を御助けなされ、其上金銀を下され、剰《あまつさ》へその在所の内にて当年は作り取に仕《つかまつ》り(後略)
一、天下様仰出でられ候は(中略)、切利支丹の儀は、当歳子によらず御果しなされ候に相定め申し候。いま発起に附きて(中略)無理に切利支丹に勧められ罷《まか》り成り候は、聞召し届けられ、御助けなさる可く候事、上意の由に御座候(中略)勿論切利支丹宗の儀|相背《あいそむ》き難く存じ候者は、籠舎仕り相果て候とも、その段は銘々次第と存じ候。(後略)
一、城中大将四郎と申す儀、隠れなく候。その年来を聞召し候へば、十五六にて諸人を勧め、斯様《かよう》の儀を取立て申す儀にては無之《これなく》候と思召し候条、四郎が名を借り取立て申すもの有之《これあり》と思召し候。左様の事に候はゞ、大将四郎にて御座候とも、罷り出でたる者これ在るに於ては、御赦免罷り成る可きの由に御
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