島原の乱
菊池寛

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)千束《せんぞく》島

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)天草|上島《かみじま》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JISX0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「てへん+確のつくり」、第4水準2−13−36]

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)ゆめ/\
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       切支丹宗徒蜂起之事

 肥後の国宇土の半島は、その南方天草の諸島と共に、内海八代湾を形造って居る。この宇土半島の西端と天草|上島《かみじま》の北端との間に、大矢野島、千束《せんぞく》島などの島が有って、不知火《しらぬい》有明の海を隔てて、西島原半島に相対して居るのである。
 天正十五年、豊臣秀吉が薩摩の島津義久を征した時、九州全土に勢威盛んであった島津も、東西の両道を南下する豊臣勢には敵すべくもなく、忽《たちま》ち崩潰《ほうかい》した程であるから、沿道の小名|郷士《ごうし》の輩は風《ふう》を望んで秀吉の軍門に投じたので
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