は、みんなお姉さんのものだわ。」
 夫人は口惜《くちお》しそうに、ジッと美和子を睨《にら》みつめながら、
「だって、みんな前川が買ったものじゃありませんか。」
「お金は、誰から出ているか、私知らないわ。しかし、今では、みんなお姉さんのものだわ。だって、お店の名義は、お姉さんの名前ですもの、そりゃ、みんな前川さんから貰ったものかもしれないわ。でも、貰い物は貰った人のものよ。」
「まあ! 図々しい!」
「図々しいよりも、こんなこと云い合うの、下品だわ。あさましいわ。だから、お姉さんは、だまっていらっしゃるのよ。奥さまが、愚図愚図と云えばだまって出て行くつもりよ。だからお姉さんの方が、奥さまや、私よりも人間が上よ、一言も云わないんだもの。」
「ヒドイ!」
 夫人は怒りにかすれた喉声《のどごえ》でそう云うと、いきなり立ち上った。立ち上って、扉《ドア》を押すと、よこっ飛びに階段へ出た。
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  殉愛の道




        一

「美和チャン、貴女《あなた》……」
「シッ、静かに。」と、姉の言葉を押えて、階段口から階下の情勢を窺《うかが》ったが、動き出した自動車のエンジンの音を
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