容子《ようす》があるので、美和子はいたく心を動かされた。
 ぼんやりしているよし子や妙子の側《そば》へ行くと、
「貴女《あなた》達、気にかけないで、お客さんの方よろしくね。レコードをかけて、大いに騒いでいてね。前川さんが来たら……」と、云いさして、小ざかしくも頭をかしげて物思いながら、
「あんまり、二階の話が長いようなら、私容子を見に行くかも知れないから、その後にもし前川さんが来たら、ちょっと取りこんでいるから、資生堂へ行っているように、話してくれない、ね……」
 と、云うと自分も、奥へはいり階段の下から、二番目のところまで昇って上の容子いかにと聞耳を立てるのであった。


 新子が、自分の部屋へはいると、夫人は新子のベッドの端に腰をかけながら、皮肉な微笑を浮べて、新子を迎えた。新子が、また落着きを失って、ションボリとその前に立つと、
「ほほほほ。南條さん、しばらく。私が、いきなり来たので、随分驚いていらっしゃるらしいわねえ。でも、私の方だって随分びっくりしていますのよ。私、偶然、貴女のお姉さまとお友達になって、貴女がバーなどに、勤めていらっしゃるって聞いたんで、びっくりしましたの。貴
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