、彼女はつんとすましていた。
全然、美和子を子供だと見くびっているらしい夫人は、美和子の機嫌の悪いのを、そういう性格だとでも思ったらしく、いろいろ露骨に、南條姉妹の戸籍調べのような質問ばかりしていた。
しかし、そうなるとかの女は、さざえが戸を閉めたように、無口になっていた。
ホテルから、新橋よりのバー・スワンへは、物の三分ともかからなかった。
自動車が止まると、美和子は常よりも、もっと身軽に飛び降りて、ゆっくり落着きを見せている夫人に、
「ちょっと。お待ち遊ばして!」と、さりげなく云うと、自分だけ、姉の店へ飛び込んだ。
扉口のすぐ傍のボックスにいた新子は、勢いよくはいって来た美和子を見て、
「何というはいり方! もう、来ないのかと思っていた!」と、皮肉を云った。
「それどころじゃないわ。前川さんの奥さんが来たのよ。」
「えっ! 貴女が連れて来たの。」
「だって、圭子姉ちゃんが、無理に、私に案内させるんだもの。お姉さん、困るでしょう……」
新子の顔から、一時に血の気が引いて行くような感じで、口がきけないらしかった。
「お姉さま、私を恨んじゃいやよ。圭子姉ちゃんが悪いのよ。」
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