っと六時を過ぎたばかりなので、広いグリルには、お客の影が少く、姉と見知らない一人の婦人とが、入口から左の少し小高くなっている床《フロア》の卓子《テーブル》に着いているのが、すぐ眼にはいった。
美和子が、わざと靴音高く近づいて行くと、姉がすぐふり返って、
「美和ちゃん、来たの。ここへおかけなさい。」と、自分の右側の椅子を、卓子《テーブル》から引きはなした。
姉と話していた婦人は、そのときチラと美和子の方を、微笑で見上げたが、美しい顔に似合わず、何か人を威圧するような気位のある人だった。
相手は、頭を下げないので、美和子も顎と上体だけをちょっと動かすようなお辞儀の仕方をして、席に着いた。
三
美和子が席に着くと、すぐ簡単な食事が運ばれた。
「これが、一番下の美和子でございます。」と圭子が先方へ紹介した。
「そうお。」
相手の婦人は、鷹揚にうなずいて、やや険のある美しい眼で、ジッと美和子をみつめていたが、
「どなたも、それぞれ美しいわね。でも、この方が一番モダーンね。」といった。
美和子は、相手が何人《なんぴと》か分らないので、ただニコニコ笑っていたが、その婦
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