和子さんの話では、美沢さんという方が、さっき見えたそうですね。」
「ええ。」と、新子は、素直に肯《うなず》いた。前川は、そこでちょっと躊躇《ちゅうちょ》していたが、
「その方は、美和子さんと結婚なさるはずになっているが、貴女は以前、その方が好きじゃなかったのですか……」といって、あわてて後をつづけた。
「もっとも、僕が、そんなことを、お訊きする資格は少しもないんですが……」と、弁解した。
新子は、前川に対して、気持の上で、いつわりをいっても、仕方がないと思ったので、素直に柔らかく微笑みながら、
「ええ。」と、うなずいた。
「じゃ、貴女が軽井沢へ来ていられた間に、その方と美和子さんが仲よくなってしまったわけですか。」
「ええ。」
「じゃ、こんなことは、僕として自惚《うぬぼ》れているか、しれませんが、僕があんな軽はずみなことをしたために、貴女と美沢さんとの間が、変になったというのじゃないでしょうか。もしそうだと僕はたいへん心苦しいんですが……」
しかし、前川のぎごちない言葉半ばに、新子は静かに首を振って、打ち消した。前川は、だまっていた。
新子は、もっと前川から、いろいろなことを訊か
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